池袋の弁護士、田村優介です!今日は顧問契約のお話です
「弁護士顧問契約って本当に必要?」起業したての時期は何かとお金がかかり、弁護士費用はなるべく抑えたいと考える方も多いのではないでしょうか。この記事では、弁護士顧問契約のメリット・デメリットから、本当に必要なケース、不要なケースまで分かりやすく解説します。さらに、弁護士費用を抑える具体的な方法や、自分に合った弁護士の選び方までご紹介します。この記事を読めば、弁護士との賢い付き合い方が分かり、安心して事業に集中できます。
1. 弁護士顧問契約とは?
企業が弁護士と継続的な法律相談や法的サポートを受けるために締結する契約を顧問契約といいます。顧問契約を結ぶことで、企業は日常的な業務から法的トラブル発生時まで、幅広い場面で弁護士から専門的なアドバイスやサポートを受けることができます。
1.1 顧問弁護士がいるメリット
顧問弁護士がいることのメリットは数多くあります。主なメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 迅速かつスムーズな法的サポート
- トラブルの予防とリスク管理
- 専門知識に基づいた経営判断のサポート
- 費用面でのメリット
- 従業員への法的教育
1.1.1 迅速かつスムーズな法的サポート
顧問弁護士がいる場合は、何か問題が発生した場合でも、すぐに相談して迅速かつスムーズに法的サポートを受けることができます。これは、顧問弁護士が企業の状況を日頃から把握しているため、迅速な対応が可能になるためです。
また、弁護士は企業の代理人として、相手方との交渉や裁判手続きなどを代行することができますが、上記のとおり、以前から会社の状況を詳しく把握していた弁護士は、そうでなく紛争が生じてから依頼した弁護士に比べ事件を有利に解決できることは明らかです。
1.1.2 トラブルの予防とリスク管理
顧問弁護士は、契約書の作成・チェックや社内規程の整備などを通じて、企業が法的トラブルに巻き込まれることを未然に防ぐ役割を担います。また、潜在的なリスクを洗い出し、適切な対策を講じることで、企業の安定的な事業運営をサポートします。
1.1.3 専門知識に基づいた経営判断のサポート
企業経営においては、法的知識が必要となる場面が多く存在します。顧問弁護士は、専門的な知識に基づいて、経営判断に関するアドバイスを提供することで、企業の成長を支えます。例えば、新規事業の立ち上げ、M&A、株式上場などの場面において、法的観点からのサポートを受けることができます。
1.1.4 費用面でのメリット
顧問弁護士は、月額の顧問料を支払うことで、法律相談や契約書の作成・チェックなどのサービスを一定回数無料で受けることができる、としていることが多いです。
弁護士田村優介は、顧問契約締結の場合、法律相談は回数無制限無料としています。
そのため、都度弁護士に依頼するよりも費用を抑えることができます。また、顧問弁護士がいることで、トラブルを未然に防ぎ、結果的に弁護士費用を削減できる可能性もあります。
1.1.5 従業員への法的教育
顧問弁護士は、従業員向けに法律に関する研修を実施することも可能です。これにより、従業員の法的な意識を高め、コンプライアンス遵守を徹底することができます。また、ハラスメントや労務問題などの予防にもつながります。
1.2 顧問弁護士がいるデメリット
顧問弁護士がいることのデメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。
- 費用が発生する
- 弁護士との相性
- 専門外の分野への対応
1.2.1 費用が発生する
顧問弁護士と契約すると、毎月顧問料が発生します。顧問料は弁護士や契約内容によって異なりますが、企業によっては負担となる場合もあるでしょう。顧問契約を結ぶ前に、費用対効果をよく検討する必要があります。
1.2.2 弁護士との相性
顧問弁護士は、企業にとって良きパートナーとなる存在であることが重要です。そのため、弁護士との相性は非常に大切です。相性が悪い弁護士と契約してしまうと、相談しづらかったり、適切なアドバイスを受けられなかったりする可能性があります。
1.2.3 専門外の分野への対応
弁護士にも得意分野・不得意分野があります。顧問弁護士が専門外の分野の相談に対応できない場合は、他の弁護士を紹介してもらう必要があります。その場合、別途費用が発生する可能性もあります。
これらのメリット・デメリットを踏まえ、自社にとって顧問弁護士が必要かどうかを検討する必要があるでしょう。顧問弁護士は、企業の成長を支える心強いパートナーとなりえますが、適切な弁護士を選定することが重要です。弁護士選びの際には、複数の弁護士に相談し、比較検討することをおすすめします。例えば、日本弁護士連合会のウェブサイト「ひまわりサーチ」では、弁護士検索サービスを提供しています。
2. 起業したてに弁護士顧問契約は必要?
起業したての時期は、事業の立ち上げに注力したい一方で、資金面での不安も大きい時期と言えるでしょう。弁護士顧問契約は、事業運営上の法的リスクを軽減するために有効な手段となりえますが、費用面を考えると、起業初期段階では躊躇してしまうこともあるかもしれません。結論から言うと、起業したての会社にとって弁護士顧問契約が必ずしも必要とは限りません。事業内容や規模、法務リスクの程度などを総合的に判断する必要があります。
2.1 弁護士顧問契約が必要なケース
起業したての場合でも、次のようなケースでは、弁護士顧問契約を検討する価値が高いと言えるでしょう。
2.1.1 複雑な契約書の作成・レビューが発生する場合
特に、取引先が大企業や海外企業の場合、複雑な契約書を締結する必要が生じることがあります。契約内容に不明点があったり、自社の不利な条項が含まれていたりする場合、後々トラブルに発展する可能性があります。弁護士に契約書の作成やレビューを依頼することで、法的リスクを未然に防ぐことができます。
2.1.2 許認可が必要な事業を行う場合
飲食店や建設業など、許認可が必要な事業を行う場合、許認可取得の手続きや関連法規の遵守について、専門家のアドバイスが必要となるケースがあります。弁護士に相談することで、スムーズに許認可を取得し、法的な問題なく事業をスタートできます。
2.1.3 従業員を雇用する場合
従業員の採用、労働契約、社会保険手続き、就業規則など、労務関係は法的に複雑な問題が多く、トラブルに発展しやすい分野です。弁護士に相談することで、適切な労務管理体制を構築し、労務トラブルのリスクを軽減できます。
2.1.4 知的財産権に関わる事業を行う場合
新しい技術やアイデアを扱う事業の場合、特許権や商標権などの知的財産権の保護が重要となります。弁護士に相談することで、適切な知的財産戦略を策定し、自社の権利を守るための対策を講じることができます。
2.2 弁護士顧問契約が不要なケース
一方で、次のようなケースでは、弁護士顧問契約の必要性は低いと言えるでしょう。ただし、これはあくまでも一般的な見解であり、個別の事情によって判断が異なる場合があることに注意が必要です。
2.2.1 事業規模が小さく、法務リスクが低い場合
個人事業主や小規模事業者で、事業内容がシンプルで法務リスクが低い場合は、弁護士顧問契約の必要性は低いと言えるでしょう。ただし、事業が成長し、取引規模が拡大するなど、状況に応じて弁護士への相談を検討する必要があるかもしれません。
2.2.2 法務に関する知識が十分にある場合
経営者や従業員に法務の専門知識があり、法務関連業務を社内で対応できる場合は、弁護士顧問契約の必要性は低いと言えます。ただし、専門性の高い分野や、判断に迷う場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
2.2.3 公的機関の無料相談などを活用できる場合
中小企業向けに、経済産業省や中小企業庁などが、無料または低価格で法律相談を提供しています。これらの制度を活用することで、弁護士費用を抑えながら、必要な法的アドバイスを受けることができます。
3. 起業初期におすすめ!弁護士費用を抑える方法
起業初期は、何かと費用がかさむ時期です。弁護士費用を抑えながら、必要な法的サポートを受けるためには、以下のような方法があります。
3.1 時間制法律相談を活用する
多くの法律事務所では、時間制の法律相談サービスを提供しています。必要な時に、必要な時間だけ相談できるため、費用を抑えることができます。相談内容を事前に整理しておくことで、より効率的に相談を進めることができます。
3.2 タイムチャージ制で依頼する
顧問契約ではなく、スポットで業務を依頼する場合、タイムチャージ制を採用している弁護士もいます。業務内容や時間に応じて費用が決まるため、無駄な費用が発生しません。事前に見積もりを取っておくことが重要です。
3.3 起業初期の割引のある弁護士を利用する
起業支援に力を入れている弁護士の中には、起業初期の企業向けに割引サービスを提供している場合があります。積極的に情報収集を行い、費用を抑えながら、経験豊富な弁護士のサポートを受けられる可能性を探してみましょう。
4. 起業初期におすすめ!弁護士費用を抑える方法
起業初期は、資金繰りが厳しいことが多く、弁護士費用を抑えたいと考える方も多いでしょう。ここでは、弁護士費用を抑える具体的な方法を紹介します。
4.1 時間制法律相談を活用する
多くの法律事務所では、時間制の法律相談サービスを提供しています。これは、相談時間に応じて費用が発生するシステムです。顧問契約を結ぶよりも、スポットで相談したい場合に費用を抑えられます。事前に相談内容をまとめておくことで、相談時間を短縮し、費用をさらに抑えることが可能です。
4.2 タイムチャージ制で依頼する
弁護士費用は、大きく分けて着手金、報酬金、実費、顧問料の4つに分類されます。業務内容によっては、着手金を低く設定し、実際に業務にかかった時間に応じて報酬を請求するタイムチャージ制を採用している弁護士もいます。依頼する業務内容によっては、タイムチャージ制の方が費用を抑えられる可能性があります。事前に弁護士に相談し、費用体系について詳しく確認しましょう。
4.3 起業初期の割引のある弁護士を利用する
起業支援に力を入れている弁護士の中には、起業初期の企業に対して割引料金を設定している場合があります。これらの弁護士は、起業に関する法的知識や経験が豊富であることが多く、心強い味方となってくれるでしょう。弁護士費用を抑えつつ、質の高いリーガルサービスを受けられる可能性があります。
4.3.1 日本弁護士連合会のホームページで弁護士を探す
日本弁護士連合会のホームページでは、全国の弁護士を検索することができます。「企業法務」「ベンチャー支援」などのキーワードで検索することで、起業に強い弁護士を絞り込むことができます。また、各弁護士のプロフィールページには、費用体系や専門分野などが掲載されているので、自分に合った弁護士を見つけるための参考にすることができます。 日本弁護士連合会
4.3.2 行政書士や司法書士に依頼する
弁護士は、あらゆる法律問題に対応できる専門家ですが、業務内容によっては、弁護士よりも費用が安い行政書士や司法書士に依頼できる場合があります。例えば、定款作成や許認可申請などは、行政書士や司法書士に依頼することが可能です。
ただし、行政書士や司法書士は、弁護士法により、法律事件の代理や、事件の交渉などを行うことはできません(司法書士については紛争の対象額が一定金額以下の場合に限り認められています。)。依頼する業務内容によっては、弁護士に相談する必要があることを理解しておきましょう。
専門家 | 業務内容 | 費用相場 |
---|---|---|
弁護士 | あらゆる法律問題に対応 | 高め |
行政書士 | 官公署に提出する書類の作成・提出代理、許認可申請など | 中程度 |
司法書士 | 不動産登記、商業登記、裁判書類作成など | 中程度 |
4.3.3 法テラスの利用
経済的な理由で弁護士費用を支払うことが困難な場合は、法テラスの利用を検討してみましょう。法テラスは、国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所です。収入などの条件を満たせば、弁護士費用を立て替えてもらうことができます。ただし、法テラスを利用できるのは、資力要件(資産を持っていないこと)などの一定の条件を満たす場合に限られます。また、法人・個人を問わず、事業にかかわる相談・依頼をすることはできません。
詳しくは、法テラスのホームページや電話相談で確認しましょう。 法テラス
5. 弁護士費用が発生するタイミング
弁護士に依頼すると、様々な費用が発生します。費用の発生するタイミングを理解しておくことは、後々のトラブル防止のためにも重要です。主な費用項目としては、着手金、報酬金、実費、顧問料などが挙げられます。
5.1 着手金
着手金とは、弁護士に事件を依頼する際に支払う費用のことです。着手金は、弁護士が事件の処理に着手するために必要となる費用であり、事件の成功報酬という意味合いではありません。
事件の最終的な結果に関わらず、着手金は原則として返金されません。着手金の金額は、事件の難易度や弁護士の経験年数などによって異なります。
日本弁護士連合会が公表している報酬の目安なども参照してください。
5.2 報酬金
報酬金とは、弁護士が事件を成功させた場合に支払う成功報酬のことです。報酬金の金額は、事件の内容や成果によって異なりますが、一般的には、経済的利益の額を基準として、一定の割合を報酬金として支払うことが多いです。例えば、1000万円の損害賠償請求訴訟を提起し、500万円の賠償金が認められた場合には、報酬金として、500万円の一定割合(10~20%程度)が支払われます。ただし、事件の性質上、経済的利益が発生しない場合もありますので、その場合は、弁護士と依頼人の間で、報酬金の額を個別に協議することになります。
5.3 実費
実費とは、事件処理のために必要となる費用のうち、着手金や報酬金以外の費用のことをいいます。具体的な例としては、以下の費用が挙げられます。
- 郵便切手代
- 印紙代
- 交通費
- 宿泊費
- 翻訳料
- 鑑定費用
実費は、事件処理の進捗状況に応じて、弁護士から依頼人に対して請求されます。また、実費の中には、高額になる可能性のある費用(鑑定費用など)もあるため、弁護士に依頼する前に、費用の概算を事前に確認しておくことが重要です。
5.4 顧問料とは
顧問料とは、企業が弁護士と顧問契約を締結した場合に、毎月支払う費用のことをいいます。顧問料を支払うことで、企業は、日常的な法律相談や契約書チェックなどのリーガルサービスを、顧問弁護士から継続的に受けることができます。顧問料の金額は、企業の規模や業種、弁護士の経験年数などによって異なりますが、一般的には、月額数万円~数十万円程度です。
費用項目 | 内容 | 支払い時期 |
---|---|---|
着手金 | 弁護士に事件処理を依頼する際に支払う費用 | 原則として事件依頼時 |
報酬金 | 事件が成功した場合に支払う成功報酬 | 事件終了時 |
実費 | 事件処理のために必要となる実費(切手代、印紙代、交通費など) | 実費が発生したタイミングで随時 |
顧問料 | 顧問契約に基づき、毎月支払う費用 | 毎月 |
弁護士費用については、弁護士と依頼人の間で、費用に関する契約書を締結することが一般的です。費用に関するトラブルを避けるためにも、契約書の内容をよく確認し、不明な点があれば、弁護士に質問するようにしましょう。
6. 弁護士の選び方
弁護士を選ぶ際には、様々な要素を考慮する必要があります。ここでは、特に重要な要素を3つご紹介します。
6.1 専門分野で選ぶ
弁護士は、それぞれ得意とする専門分野があります。法的トラブルの内容によっては、特定の分野に精通した弁護士を選ぶことが重要になります。例えば、企業法務に強い弁護士、離婚問題に強い弁護士、刑事事件に強い弁護士など、専門分野は多岐にわたります。
ご自身の抱えている問題に最も適した専門知識と経験を持つ弁護士を選びましょう。日本弁護士連合会のウェブサイトでは、弁護士検索システムを利用することができます。このシステムでは、弁護士の専門分野、所属弁護士会、取り扱い業務などが検索できますので、ぜひ活用してみてください。 日本弁護士連合会
6.2 費用体系で選ぶ
弁護士費用は、弁護士によって大きく異なります。費用体系も、時間制、着手金制、報酬金制など、様々です。弁護士費用は、法律相談料、着手金、報酬金、日当、実費など、様々な要素から構成されます。
事前に複数の弁護士に相談し、費用体系や見積もりを比較検討することが重要です。また、弁護士費用保険に加入している場合は、保険適用範囲などを確認しておきましょう。
弁護士費用は高額になる可能性もあるため、事前にしっかりと確認し、納得した上で契約することが大切です。
費用項目 | 内容 |
---|---|
法律相談料 | 弁護士に法律相談を行う際に発生する費用 |
着手金 | 事件を受任した際に支払う費用 |
報酬金 | 事件の結果に応じて支払う費用 |
日当 | 弁護士が裁判所に出廷する際などに発生する費用 |
実費 | 交通費、通信費、印紙代など、実際に支出した費用 |
6.3 相性で選ぶ
弁護士との相性は、事件をスムーズに進める上で非常に重要です。弁護士とクライアントの間には、信頼関係が不可欠です。そのため、自分の考えや気持ちを理解してくれる弁護士、コミュニケーションが取りやすい弁護士を選ぶようにしましょう。
初回相談の際に、弁護士の対応や人柄などをよく見極めることが大切です。疑問点や不安な点は遠慮なく質問し、納得できるまで話し合いましょう。
7. まとめ
起業したての頃は、資金面で不安があり、弁護士顧問契約は費用がかさむと感じるかもしれません。しかし、事業内容によっては、法的なトラブルを未然に防ぐために、顧問弁護士は心強い味方となります。弁護士費用を抑える方法としては、時間制法律相談やタイムチャージ制の活用、起業初期割引などを活用するなどがあります。最終的には、事業規模やリスク許容度などを考慮し、自身にとって最適な選択をすることが重要です。
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